映画紹介

映画あらすじ

農村での生活を捨て、生き延びるための僅かなお金を握りしめ、大都会ダッカへ足を踏み入れた少年ラジュ。そこでラジュはダッカの路上で暮らすストリートチルドレンなどと知り合っていき、彼らの元締めであるイアシンという男のもとに連れて行かれる。イアシンはダッカの暗闇を象徴するような男であり、子ども達を使って様々な違法な商売に関与している。ラジュも自分がしている悪事に気づかないまま、イアシンの手先になっていってしまう。一方、路上に捨てられた少女ククもイアシンの餌食となり、ダッカの闇の生活に落ちていってしまう。
この物語は、蟻地獄のように引き寄せられ、決して逃れることのできない、ダッカの現実の姿を描いた映画である。

少年ラジュ
少年ラジュ

ラジュの本名は、パルベスで、もともとは本当のストリートチルドレンでした。今は14歳です(2009年8月時点)。エクマットラのシェルターホームが始まった時からエクマットラにいて、それから4年半の間、シェルターホームで生活していました。その後事情がありエクマットラの子どもとして、パートナー団体のセンターで生活をしています。昼間は路上で新聞を販売して、夜はシェルターホームで生活しています。彼は、今後エクマットラのスタッフとして働いていく予定です。

イアシン
イアシン

映画制作について

この映画では約250人の俳優達が関わっています。また、映画製作のためのスタッフは、監督を含む撮影チーム10人、美術・衣装・小道具・メイクアップなど15人、制作チーム20人、制作責任者4人、また、編集チームなどです。
脚本が仕上がったのは2004年でしたが、映画制作のためのスポンサー探しに時間がかかりました。2007年10月、私達はスポンサーとしてDutch-Bangla Bank Ltd. とMoments of Joyの協力を得て、映画の撮影に取り掛かりました。そして、2009年3月、映画を完成させることができました。

この映画を制作した理由

私たちエクマットラは、ストリートチルドレンへの支援活動を通じ、路上生活をしている子ども達が常に危険にさらされている事実を知り、そして、一般社会に生きる人々にこの事実を知らせることこそが重要なことであると痛感しました。そこで選んだのが「映画」という手段です。「映画」は単なる娯楽ではなく、あらゆる階層の人々へ、現実の社会に繋がる強いメッセージを伝えることができる媒体であると思うからです。

この映画制作にはふたつの目的があります。ひとつは、一般社会が問題を認知し、そして自分自身の行動を改めるきっかけとなること。そしてふたつ目が、
エクマットラアカデミー」の設立資金を集めるため、というものです。

エクマットラアカデミー」は、これまでに行ってきた青空教室、シェルターホームに続いての第三のステップとして設立を計画している、ストリートチルドレンの自立支援センターです。そのプロセスにはなるべく多くの人々の参加と賛同を得たいという願いがあります(2008年9月、建設予定地を購入し、現在建設作業中)。
この映画の公開から得られる収益はこのアカデミーの設立資金に充てられます。それはつまり、観客の皆さんひとりひとりが、子どもたちがアリ地獄を脱却するというプロセスをサポートするということなのです。

現実を知る、未来が動く

この映画を通して伝えたいメッセージ

私たちは、途上国における「開発」というものを考えるときに、また途上国の様々な問題の解決を考えるときに、まずその被害者をいかに変えていくか、彼らの状況をいかに改善していくかということばかりを考える傾向があります。ですが問題はそれほど単純なものではなく、本当に多くの要素と要因が絡み合ったものです。それは、私たちひとりひとりも知らず知らずのうちにその加害者となりうることを示しています。今、求められているのは、まずはこうした問題の存在を知ること、そして自らを変えていく、変革していくことではないかと思うのです。

この映画が、一人でも多くの人の、そうした「きっかけ」になることを願っています。

シュボシシュ・ロイ監督メッセージ