日本映画学校 佐藤忠男 校長による評価

| 月曜日, 12月 7th, 2009 | No Comments »

日本を代表する映画評論家であり、日本映画学校校長の佐藤忠男さんに、映画「アリ地獄のような街」の評価を頂きました。2009年12月3日に行われた試写会でのコメントです。

「バングラデシュにはメインストリームの映画と、オルタナティブの映画と両方ある。世界中どこでもそうだが、この映画はその中間を狙ったところが良かったとも言えるし、半端になっているとも言えます。

単純に言えば、この作品は非常にショッキングでした。

バングラデシュには2度行ったことがあり社会問題を一杯抱えているのは知っていますが、これだけザラザラした、ムカムカするような場面を見せてもらえると、バングラデシュは大変な国なんだなあと思いました。そういう意味では成功していると思います。

ストリートチルドレンを扱った映画は、インドネシアに枕の葉の下という傑作があるし、モンゴルにも傑作があります。アジアのいたる所にそういう作品があるんだけれど、これほど荒々しく吐き気を催すような場面が出てくる映画は他にはないですね。

そういう現実を知らせたという点では、成功していると思います。ただ、さっき学生から音楽の話が出たが、はっきり言って音楽は使いすぎですね。バングラデシュで著名なイスラムの作品も、モカンメルの作品ももっと淡々としていますよ。あなた(監督)は、表現しようとしすぎなんですよ。なんでもかんでも詰め込み過ぎてるね。もう少しストーリーをシンプルにして、ひとり一人の人物を細かく描いたらもっといい作品になりますよ。

一番良くないのは、悪役のイアシン。
あれだったら素人の方がいいのではないか。私は悪いやつですっていう顔をしているから、良くないね。必ずしも悪い顔をしているのが悪いやつとは限らないからね。普通の顔をしているやつが本当は悪かったりするから。

音楽の使い方が、「ここは悪い印象受けなければいけません」という音楽の使い方をしているが、それは良くないですよ。音楽のことは見ている間、見終わった後に忘れてしまうような音楽の使い方をした方がいいですよ。

そうすると大衆映画にならなくて、一般の人が観てくれないと思うかもしれないけど、どこの国もそうやって映画が発展してきたからね。

だから落ち着いて。自分が表現したいことは、これではまだお客には分からないかなと思って、もっと強く、もっと強くってそういう視点を持って、「いったい彼(恐らく役者)は何を考えているのだろうか」と観る側が、余裕を持って考える時間を与えるような作り方をした方がいいですよ」

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